突然起こる激しい動悸や発汗、頻脈(心拍数が増加している状態)、震え、痺れ、息苦しさ、胸部不快感、冷や汗、めまいといった身体的な症状に加えて、「このまま死んでしまうのではないか」と思うほどの強い不安感に襲われます。
この発作は「パニック発作」と呼ばれ、その多くは20~30分くらい、長くても1時間以内には治まるのが普通です。
発作を起こして救急車で病院に運び込まれたりもしますが、医師の診察を受ける頃には発作は消え、心電図や血液検査などをしても異常は認められません。
パニック障害は、検査をしても身体的な異常が見当たらないのに、こうした発作を繰り返す点が特徴的です。過換気症候群や甲状腺疾患、不整脈なども似た症状を呈することがありますので、そうした疾患との鑑別も必要です。
前記のようなパニック発作を何度も繰り返すうちに、また発作が起きたらどうしようという、パニック発作に対する強い恐怖感や不安感が生まれやすくなります。これを「予期不安」といいます。
予期不安は、逃げ場の無いような場所で症状が起きたらどうしよう、発作を他人や大勢の人に見られたら恥ずかしい、といった不安や恐怖につながり、次第に大勢の人が集まる場所などを避けるようになります。
パニック障害が悪化すると、行動範囲が狭まったり、人前に出るのを嫌って閉じこもるようになったりし、通常の社会生活が営めなくなります。また、うつ病を併発する場合もあります。
治療の基本は、薬物療法と心理療法です。
心理療法としては、不適切な考え方や行動を修正していく「認知行動療法」や眼球運動による脱感作、および再処理法を行うEMDR、心身をリラックスさせる方法を身につける「自律訓練法」などが用いられます。当院でも実施しております。
豊島区 巣鴨の心療内科 精神科
医療法人社団櫻和会櫻和メンタルクリニック 院長 山野 かおる
(日本精神神経学会認定精神科専門医/精神保健指定医/日本医師会認定産業医)
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